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 はましん経営塾会報第16号をお届けします。

 

〜〜〜〜〜第11期(昨年度)の活動状況 〜〜〜〜〜

総会・講演会・パーティー

平成13年4月20日(木) 
グランドホテル浜松

<講演会>
『損して得とれ!〜顧客第一主義とは〜』
 MKグループオーナー 青木 定雄 氏



 よく、テレビ・マスコミ等で私のことを、企画力、アイデアに富んでおり、ユニークな経営を行っていると取り上げてくれます。しかし、私は特別なことをしている訳ではありません。
 ただ、常識的なこと、当たり前のことを日々行っているにすぎません。

経営者は職場から離れるな

 私はタクシー無線で毎日挨拶をしております。トップ自ら無線を使用しているタクシー会社はMKだけです。タクシー無線は何も費用の掛からないPRの媒体ですから、この無線を利用しない手はありません。この無線を利用するには3つの理由があります。まず、運転手に対してのメッセージです。普通の会社の朝礼のようなもので、社員教育の一環です。 次にお客様に対してのメッセージです。運転手に無線で訴えれば、お客様の耳にも届きます。それによって運転手とお客様との会話が始まります。また、私の顧客第一主義の考えが直接お客様に届き、MKのイメージがよくなります。そして一番大事なのは、私が無線で挨拶を行うことで「オーナーはいつでも会社にいる」ということを訴えることです。
 バブルの時、社員そっちのけでゴルフに興じている経営者が多くいました。それではいけません。経営者は職場から離れてはいけないのです。バブルが弾け

て、ゴルフに興じたツケが今、回ってきているのです。当時、職場から離れていた経営者に限って、「政治が悪い、景気が悪い」等と言っております。早く頭を切り替えなければなりません。人のせいにするのではなく、自分で考えなければいけません。そのためには、経営者は職場から離れてはいけないのです。

社員の教育を徹底する

 タクシー事業に進出したのは昭和35年。車10台、運転手24人でのスタートでした。軽い気持ちで始めたのですが、まず運転手の無断欠勤、遅刻、早退が多いのに驚きました。ある先輩は「無断欠勤などは常識だ。そのために運転手はたくさん抱えて、早く来た者から先着順で運転させればいい、後からきて車に乗れなかった者には給料を払わなければ良い」とアドバイスをしてくれました。しかし、その考えには納得しませんでした。運転手を教育すればなんとかなると考えていたからです。しかし、事態は一向に良くなりません。

 そこで、運転手の家庭を一件一件訪問してみると、六畳一間に一家5人・6人で生活しているケースがざらでした。これでは夜働いて、昼間は睡眠時間が十分に取れずに(当時はクーラーも無いため)無断欠勤が増えるのも当然です。欠勤・遅効を無くすためには、まず、生活環境を改善しなければならないと、社員寮を

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建て生活環境の改善に努めました。

 昭和44年には団地を丸々買い取り、1棟350万円のところ325万円の格安で社員に分譲しようとしたところ、だれ1人申込みがありませんでした。当時の平均的な給料7万円のうち半分がローンで飛んでしまうからです。それならば給料を上げなければならない。京都の自動車に関する歴史の本を読んで調べたところ、戦前のタクシー運転手は花形職業で銀行の支店長と同程度のサラリーでした。そこで、月給を5万円上げて銀行の支店長並み(12万円)にしました。同業者は「3ヵ月でつぶれる」と噂しましたが…。
 給料を上げたら、運転手の能力を開発し、それ以上に経営者が苦労しなければなりません。そこで、朝、自宅から湯飲みセット一式を自車に積み込み、会社の休憩室を掃除して夜勤明けの運転手にお茶を用意して、注いで回りました。そしたら、感極まったのでしょう。湯飲みを持つ手が震えているんです。その時、「あ、これが教育や」と思いました。
 それで毎朝、経営の話をするようになりました。「会社がつぶれたら、みな職を失いますよ、つぶれないためにはまず経費削減です。リッター当たりの走行距離を伸ばす運転をしましょう。タイヤ一本の走行距離を増やす運転を心掛けましょう」と。次は売上増加です。「タクシーの経費はお客を乗せて走っても、乗

せないで走っても同じです。実車率を上げるため、お客さんが手を挙げたら必ず止りましょう」と。
 結果、タクシー1台当たり月4万円売上が増え、経費は2万円削減でき、5万円の給与アップが実現できました。さらに家の前にガレージを付け、会社までの通勤をなくしました。なぜ、ガレージを付けたかというと、ガレージがないと営業所として認めてくれなかったからです。ここから運輸省(当時)との規制をめぐる闘いが始まりました。そして、通勤時間がなくなった分、営業してもらおうとしたわけです。1時間営業時間を増やしたら1,000円利益が上がります。1ヶ月続けると30,000円近い利益増になります。その儲けをローンの返済に充てることにより団地の購入が可能になったのです。
 昭和53年には持家比率が75%となり、現在ではマンションも分譲しています。

終わりなき顧客サービス改善

 顧客サービス改善は徹底的にやりました。「ありがとう運動」を行い、運転手を路上に並ばせ大声で「ありがとうございました」と叫んでもらいました。恥ずかしがって会社を辞める者も続出しましたが、元気のいい挨拶は商いの源です。また名前を呼ばれたときの「はい」という返事も、元気がいいと気持ちのいいものです。どうせ挨拶や返事をするのなら、大きい声でハキハキしましょう。この挨拶を従業員に徹底させるため「運転手が挨拶をしない場合は運賃を頂きません」というMK運賃も実施しました。タクシーを市民に返す運動、深夜救急タクシー、身障者優先運動などの新サービスにも相次いで踏み切りました。
 制服導入も顧客サービスの一環です。私はタクシー事業を始めてすぐ制服制帽を作り、蝶ネクタイと縞のシャツを採用したこともあります。その後、森英恵さんにデザインをお願いしましたが、イメージが悪くなるのを心配したのか渋られてしまいました。意地も手伝って4年かけて口説き落としました。苦労しただけあって、従来の制服のイメージを覆すと好評です。

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 徹底的にサービスをたたきこめば、タクシー運転手の信頼性が高まります。お客様の命を預かっているという意味においては、タクシー運転手と飛行機のパイロットは同じであります。それがなぜ、パイロットが信頼されるのに、運転手が信頼されないのか、それは経営者の責任であります。そういう教育をしてこなかったからです。
 徹底した社員教育の結果、おかげさまで、MKが民間タクシーとして、初めて全国植樹祭の時に利用されるなどイメージが高まってまいりました。

従業員を大切に

  経営者の方で大手の取引先や取引している金融機関のおかげで、会社が成長してきたと勘違いしている方がいらっしゃいますが、私に言わせれば大きな間違いです。取引先や金融機関は会社が困った時に、何の手助けもしてくれません。いざというときに頼りになるのは従業員です。ただ、従業員も常日頃から目をかけとおかないと、いざというとき協力してくれません。それはそうでしょう。会社の経営がいいときは遊んでいて、困ったときだけ従業員にお願いするなんていう、勝手は通りません。従業員と親密になっておかないと駄目です。MKでは月に数回運転手も参加する会議を営業店で行いますが、私は一度も欠席した事がありません。それが私と従業員との唯一の接点だからです。どんなに美人の誘いがあっても、高額の講演会の依頼があっても、この会議の日だけは断ります。このような接点を大切にすることによって従業員から信頼されるようになるのです。

損して得とれ

 サービスというのはタダではありません。付加価値をつければ金になります。京都には多くの外国人が訪れます。必然的に英語ができる運転手のニーズが高ま

ります。そこで運転手に語学留学までさせて英語を教育させるわけです。この英会話観光サービスは1時間当たり1,000〜2,000円(運転手の英会話レベルによって違う)頂いております。長野で行われた冬季オリンピックの際も、京都からわざわざMKタクシーが呼ばれたのです。それも、主催者側のほうでスタッドレスタイヤを用意してくれました。また、京都の国際会議場へも、英会話のできるMKタクシーが呼ばれるのです。このように、付加価値を身に付けた運転手は、運賃以外にも収入が入る訳です。車内で商品の売り買いの斡旋を行い手数料を頂く「動くデパート」サービスも行っております。
 もっとも、サービスをきめ細かくして質を高めることと、どこからサービスの料金を頂けるかというのは簡単には線が引けません。トータルとしてのサービス、それに伴う収入を考えなければなりません。サービスがよければ、運賃以外頂けなくても次回からMKのファンになってくれます。近距離でも乗車拒否しなければ次回から遠距離でも利用してくれますし、ライバル同業者も「MKなら近距離でも乗車拒否しない」と宣伝してくれます。この固定客増が、MKの事業全体を支えてくれて、運転手一人一人の収入増につながるんです。「損して得とれ」といった考えが、結果的に収入増になるわけです。

当日行われた総会にて役員が任命され、パーティーで挨拶をしていただきました。

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 第1回経営研究会

平成13年5月16日(水)
相談プラザ4Fコミュニティーホール

「勝ち残るための経営戦略とは何か ― 基礎編」
市川 周氏 ((株)市川アソシエイツ 代表取締役)

 経営に対する戦略の良否が企業経営を左右される時代となり、中小企業においてもその重要性が注目される中、 経営戦略の基礎編と題して、戦略的思考から自社分析および環境分析までをマトリックスを用いてわかりやすく解説していただきました。

<講義ポイント>

(1)戦略的生き方 ― 3つの条件

第1条件
「枯れ葉」を押し出す「新芽」になれ
第2条件
「跳びながら見ろ」〜見る前に跳べるか〜
第3条件
「木をみて森も見ろ」〜「木を見て森を見ず」の
戒めと本音〜

(2)「選択と集中」型商品・事業分類

現在、取り組んでいる個々の事業や商品が経営戦略上、同等の重要性を持って存在しているわけではない。 当該事業・商品シェアと成長率で上図のように大きく4つに分類される。この中で、事業部門として今後捨てるべき事業・商品(負け犬)はどれか? 困難を乗り越えて推進すべき事業、商品(問題児)はどれか?我が部門は「花形商品(事業)」をどれだけ持っているか?そして「金のなる木」型の商品や事業にいつまで依存できるのか? といった形で現在取り組んでいる商品、事業分野を4分類しながら経営資源投入・配分の循環構造をつかむ。

(3)成長ベクトルの設定

  1. 企業の「成長ベクトル」を決定するのは顧客と商品の組み合わせ

  2. 「成長ベクトル」には4つの窓がある。

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 第2回経営研究会

平成13年6月6日(水)
相談プラザ4Fコミュニティーホール

「勝ち残るための経営戦略とは何か ― 応用編」
市川 周氏 ((株)市川アソシエイツ 代表取締役)

 前回の経営戦略のパートIIです。今回は、前回で勉強した内容を踏まえて塾生それぞれ自社の内容に合わせた戦略構築までを行いました。

(1)SWOT分析の考え方と実践手法

  1. 自己分析は「強み」と「弱み」の解剖作業
  2. 環境分析は「機会」と「脅威」の判別作業
  3. SWOT分析なくして戦略なし

(2)SWOT分析の戦略的応用

自社が他社との競争に勝ち抜いていく「戦略ゾーン」設定の基本はSWOT分析にある。
 すなわち自社経営資源の<強み>と経営環境における<機会>とが結合するところに戦略的な優位分野(ゾーン)を設定する。 これに続いて、<弱み>を<強み>に変えて<機会>と結合するか、あるいは<強み>をもって<脅威>を<機会>に変えていく戦略的補強分野(ゾーン)を設定していく。
 <弱み>と<脅威>の組み合わせは撤退ゾーンになる。

(3)補完戦略

  1. 顧客満足対応分析

  2. 4つのプレーヤー
    • 自己とライバルを同じテーブルの上にのせて見る
    • 企業“座評点”を決める座標軸は経営資源と市場シェア
    • 戦いの舞台には4種類のライバルしかいない
    • フォロアーから将来のリーダーが生まれる

(4)戦略の窓

  • 潮時など考慮するな ― 徒然草と企業の戦略論
  • 「戦略の窓」と「無常迅速」

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 企業視察会

平成13年7月3日(火)
<浜松大学 坂本光司教授 同行>

《視察先》 伊那食品工業株式会社(長野県伊那市)
 業務用寒天で全国シェア80%を誇る寒天のトップメーカー。2000年12月期の売上高は108億円。1958年株式会社を設立以来、43期連続で売上増を果たしている。

 《坂本教授授車中セミナー》

 低迷する株価の動向を見て、強力な株価対策を講ずべきといった声が日増しに大きくなっている。
 しかしながら、こうした言動は、株関係者の視点に立脚し株価の一面のみを過度に強調したもので、二つの誤解と錯覚をはらんでいる。 そればかりか、こうした見方・言動を続けることは株価の動向などよりもはるかに重要な、日本経済の60%以上を決する個人消費をも、逆に萎縮させてしまう危険性をはらんでいる。
 株価についての二つの誤解とは、第一は昨今の株価が1万3千円前後はもとより2万円台でも低すぎるという見方である。 株価に最も重大な影響を与える国内総生産の動向をさかのぼって見てみると、今から二十年前の1981年が約300兆円、そして現在が約520兆円であり、この間の増加率は1.73倍、 一方株価はというと、1981年当時のそれは7千5百円前後であったので、その増加率は1.73倍であり、経済成長率と比較し株価のみが異常に低いなどとは到底思えないのである。
 そして第二の誤解とは、株価の安定と上昇は日本経済のファンダメンタルズであり、その低迷・低下は、やがてスパイラル的に日本経済の破滅をもたらすといった株価の評価である。
 しかしながら、上場会社株式時価総額約342兆円の持分比率を見てみると、金融機関が約40%、法人が24

%、そして外国人投資家が約10%とこれら直接当事者で全体の75%を占め、個人の割合はわずか25%しかないのである。 しかもこれを勤労者世帯で見てみると、その保有世帯率はわずか23%と圧倒的多数の家族にとっては、株自体が直接的には無縁の資産なのである。 加えて、株価は我が国会社の0.1%にも満たない一部大企業の業績のバロメーターにすぎない、という事もあえて言いたい。
 中小企業にはこうした現実を踏まえ、直視し、株価に踊らされることなく、それを超越した企業に進化することが期待される。

 《伊那食品工業の見所・聞所》

  • 寒天製造といういわゆる斜陽産業といわれる中で、例外的に成長発展を続けている。(国内市場の約80%、世界市場の約15%)
  • 高い成長性と収益性(42期連続増収、20年以上連続売上高経常利益率10%以上)
  • 創立以来、自己都合以外退社ゼロ

 《塚越社長の公演》

  • 21歳で債務超過企業の社長をまかされる
  • 40歳で会社の目的を→従業員を幸せにしたい!

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  • 永続する会社とは→原理原則 自然体
    1. クビにしない、ビジネスライクではない
      → 敵を作らない
    2. CS顧客第一主義=不易流行
    3. 急成長してはいけない
    4. 時流を捉える

  • 目的の明確化 → 家業 or 企業

 ●帰りの車中での感想●

  • 今までとにかく利益追求という中で働いてきたが、当社はこの対角に位置すると思われる中で利益率も非常に高いということに率直に驚嘆した。
  • 社員とのコミュニケーションの重要性を再確認した。
  • 人間(社員)およびその家族までを大事にする姿勢に感銘。
  • 社員を大事にすることでモラールが上がることを実感。
  • 社員が会社を育てるといったことを実感。
  • 自己・利己主義ではなく人の和の重要性を感じた。
  • 会社の経営に一本筋がとおっている。
  • 社業は社長次第であることを実感。
  • 社員のリストラについて考えさせられた。
  • 毎日の掃除の大切さを再確認。
  • 経営理念の重要さを確認。
  • 景気のせいにしてはいけないと思った。


 第3回経営研究会

平成13年7月12日(木)
相談プラザ4Fコミュニティーホール

「計数分析を理解するための企業財務の基礎」(1)
前田 勝昭氏 (前田勝昭公認会計士事務所所長)

 財務分析講座の第1回として、財務分析とは?からはじまり、その目的、方法、会計ルールまでを具体的事例を交え、解りやすくご説明いただきました。

(1)財務分析とは何か

 自社の決算書を分析して、経営状態を判断するための基本となる数字をつかみ、さらにその数字や比率に至った理由を分析し、 自社の製造、販売、技術開発部門の問題点や実態をつかみ、改善の目標、方針を具体的に立てるための道具とする。

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(2)主たる概要分析の方法<森の見方>

  1. 成長性の分析
    売上、利益、設備等が右肩上がりで伸びているか
  2. 収益性の分析
    必要な利益を稼ぎ出す力はあるか
    商品の魅力はあるか
    原価引下げ努力がなされているか
    設備等、資産が有効に使われていて、売上やその他の収益を引き出す力があるか
  3. 採算性の分析
    損益分岐点分析ともいい、現在の固定費や変動費比率のもとで赤字が発生しない売上はいくら必要か、何をどう改善したらいいのかの目標決定
  4. 生産性の分析
    社内で従業員が稼ぎ出す付加価値は高いのか、低いのか、従業員に対する賃金は高すぎるか
  5. 安全性の分析
    借入金等の返済能力は十分か、資金計画は正しくされているか、今いくら借入できるのか

(3)経営分析のための指標の算出方法

  1. 実数分析
    この分析方法は、2期間以上に亘って決算書の各項目の差を求め、その差額から会社経営にどんな問題点があるのかを判断するものである。
  2. 比率分析
    この分析方法は、決算書の経営数値のある項目と他の項目との相対値を求めてその関係を明らかにするものである。 経営分析の中で最も広く用いられるものである。
  1. 構成比分析
    この分析方法は、売上高に占めるそれぞれの経費や利益の割合を算出したり、貸借対照表の総資産に占めるそれぞれの資産や夫妻、資本の割合を算出して会社の状態を判断する方法である。
  2. 趨勢比分析
    この分析方法は、決算書のそれぞれの項目の変化を数期間に亘って追跡し、会社の経営内容の変化の傾向と、その問題点を明らかにするものである。

(4)数値を読む5つの尺度

  1. 時系列比較
    この判定尺度は、過去数期間の比率や実数を比較することで経営内容が良くなるのか悪くなるのか、その傾向を判断するものである。
  2. 標準値比較
    この判定尺度は、経営分析した会社の数値と、その会社が属している業界の平均値・標準値とを比較することで、経営の良し悪しを判断するものである。
  3. 同業者・競合社比較
    この判定尺度は、算出数値や実数を目標とする同業者や競合する会社等と比較することで、自社の強み、弱みを判断するものである。
  4. 理想的形態比較
    この判定尺度は、算出した比率を関連づけて組合わせたものを、理想的な組合わせと比較することによって、経営の良し悪しを判断するものである。
  5. 目標時比較
    この判定尺度は、対象企業における年度計画などの計画値と実績値を比較して、その達成度合により経営の良し悪しを判断するものである。

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(5)原因調査<木を見る>ために
   用意しておきたい管理資料

  1. 売 上
    製、商品別の構成比率及びその推移同売上単価の推移
  2. 仕 入
    製、商品別の原価(材料、労務費、製造経費、一般管理費)仕入商品、材料等の単価の推移
  3. 従業員数
    部門別、担当別の従業員数(平均)正社員とパートの区別必要(パートは平均勤務時間も必要)
  4. 設 備
    活用している設備と遊休になっている設備の区分
  5. 棚卸資産
    不良、遊休(回転の悪い)のグループの区分(金額も)と活性化しているグループ(金額も)
  6. 自社の特徴を作るコストとそのコストの変化による売上の変化等(例えば交際費、荷造運賃、販売手数料、検査費)
  7. 部門別の損益計算書

(6)P/Lと注意事項

  1. P/Lは一定期間の業績を表す
  2. 各利益に意味があり、それにより自社の弱点が良くわかる
    1. 売上総利益…売上−売上原価(販売価格と仕入価格の差、売買における差利益)
      ※売上総利益率が高いということは
      →商品に魅力があり、値引き要請なし
      原価引き下げ努力がなされている
    2. 営業利益…売上総利益−販売費管理費(販売コスト、営業コストを差し引いて営業段階での儲けを示す)
      ※売上販管費率が高いということは
      →販売コストがかかりすぎている
      間接要員が多すぎる
      ムダな費用を使いすぎている
    3. 経常利益…営業利益+営業外収益−営業外費用(企業の最終的な当期の業績を示す最も重要な利益といわれる)
      ※売上経常利益率が高いということは
      →A.の要因とC.の要因そして下記の金融コストの大小要因によって企業の収益力の高さを表わす指標
      ※売上金利負担率が高いということは
      →支払利息が多すぎるということであり、資金が借金体質を意味し、働いても働いても銀行のために働くこととなる。

(7)B/Sと注意事項

  1. B/Sは一定時点の財政状態(負債支払能力、資金運用能力、資金調達内容を示すために作られる。今日では非常に重要な表といわれている。
  2. 知っておきたいルール
    1. 様式ルール
      • 流動と固定を区分するルール
        ワンイヤールール(1年基準)
        正常営業循環基準
        属性基準
    2. 資産評価ルール
      • 取得原価主義が原則
      • 強制低価法の適用
      • 減価償却は毎年必ず実施すること
  3. 注意事項
    • それぞれの項目に何が入るか、科目の意味は何か
    • 継続性の変更はないか
    • 商法様式ルールに従って作られているか
    • 資産の価格は商法の規則に従って計算されているか、また詳細には企業会計原則に従っているか

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経営塾10周年記念・三遠南信合同勉強会
「飯田信用金庫と合同」

平成13年8月21日(火)グランドホテル浜松

<講演会>
環境の激変と構造改革の革新
 シャープ株式会社 桂 泰三 氏


 私は13年間、海外事業に携わり、1986年から98年まで副社長として海外事業を担当していました。ですから、延べ約25年ほど海外事業の仕事をしてきたわけです。副社長の期間が異常に長かったわけですが、その間、社長は大御所から意見を述べてもらい、私が細かいことをいうようなコンビを組んできました。今日は、私がシャープの経営会議や常務会で常日頃話してきたことを、率直に述べたいと思います。
 実は、台風の関係で前日に浜松入りしておりまして、朝ゆっくり日経新聞を読む時間がありました。日経新聞で現在「変調 貿易黒字大国」という連載を行っています。その中で、多くのエコノミストや大学教授は「日本の貿易黒字は減ってきているが、赤字になることはない」といった発言をしております。しかし、私は10年後には貿易赤字に陥ると考えております。
 8月21日付の同連載で、日本経済研究センターの香西泰会長は「いま現実に起きているのは、内需が低迷するなかでの黒字縮小だ。これは日本の国際競争力が失われていることを意味する」と発言しております。また、同記事の中で、国際証券の水野和夫経済調査部長は「大企業がアジアに生産拠点を移すと、国内に

取り残される下請け部品メーカーなどが苦境に陥る。中小製造業から新たな不良債権が発生する可能性がますます高まる」と分析しています。二人のコメントは正論ですが、私にいわせれば「何を今更」といった感じです。私は1985年のプラザ合意が、規模・業種を問わずターニングポイントだったと思います。
 バブル崩壊以降、GDP2年分以上の資産が目減りしました。結果、「失われた10年」と呼ばれるようになりました。その間、なにもしなかったわけではありません。政府は70兆円もの景気対策を行い、企業は合理性の追及により、生産拠点を海外に求めていきました。それでもダメだったわけです。かつては「景気対策(減税)」→「テレビを買う」→「テレビを作っている会社が潤う」→「所得向上」といった循環サイクルによって景気が上向いたのですが、今はテレビを中国で作っており、中国が潤うだけで、循環が止まってしまっています。日本ではせいぜい流通業が潤うだけです。これでは良くなるはずがありません。
 さきほども述べた通り、85年のプラザ合意により時代が変わってしまったわけです。参考資料(1)によると、85年の為替レートは1$238.05円だったのが、00年は1$107.78円にまで上昇しております(その間95年には93.7円、瞬間79円をつけている)。その結果、参考資料(2)が示すように、日米の金銀水準を比較してみると、プラザ合意前はアメリカの方が割高でしたが、

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現在では日本の方が割高になっています。
 ユニクロで話題となった中国と賃金比較をしてみると、とても勝ち目がないことがわかります。日本を100とすると中国は4.8。二十分の一以下です。しかも、中国の4.8というのは上海という、中国で一番賃金水準が高い地域との比較であり、内陸地はもっと安い賃金となっています。
 その他、土地・電力・水道・税金といったコストも日本は高すぎます(参考資料(3)参照)。これでは日本の競争力が低下するのは当たり前です。
 参考資料(4)によると、日本の輸出は85年の42兆円から00年の51.7兆円と、23.7%増加しました。その間GDPは約6割増加しており、輸出の伸びを上回っています。また、92〜94年は円ベースでみると85年の水準を下回っています。しかし、旧通産省はドルベースで統計を見ていました。ドルベースで見ると輸出は順調に増加しているように見えますが、円ベースでみた国際競争力は落込んでいます。
 このように円高によって日本の国際競争力は確実に低下しています。それにも関わらず、政府は構造改革といっても為替にはほとんど言及していません。為替は本来、購買力平価で決まらなければならないと思います。しかし、世界の年間貿易額6兆円に対し、一日だけで1兆5000億円のお金が動いています。政府は「為替はマーケットに任せておけ」と言ってます。しかし今のマーケットは、はっきりいって博打です。これでは、国内製造業は衰退しますし、海外に生産拠点を移転するしかありません。

 このような経営環境の変化の中、シャープはどのように経営構造の変化を成し遂げたかをお話したいと思います。為替の問題は勿論ですが、技術革新は経営にインパクトを与えました。テレビの生産リードタイムは86年の570分から90年代には17分に短縮されました。ちなみに現在は13分で作ることができます。20年前、IBMのスーパーコンピューターで処理していたものが一つの半導体でできるようになりました。
 そうした中、シャープはアッセンブリー(組立)からデバイスに経営構造をシフトさせました。アッセンブリーではとても中国にかなわなくなったからです。電卓を例にとると、シャープの人員を極力少なくした最新鋭ラインが、台湾に負けてしまい、その台湾もその後中国に負けてしまいました。
 86年度の商品構成をみてみると、家電のアッセンブ

リーが59.3%占めていたのに対し、デバイスは8.4%に過ぎませんでした。それが00年度にはアッセンブリー31.9%、デバイス35.3%と逆転しています(参考資料(8)参照)。デバイスの中で特に経営資源を集中させたのが液晶です。86年度、液晶はわずか0.8%を占めるしかありませんでしたが、00年度は18.6%まで上昇しました。
 アッセンブリーにこだわった会社はというと、テレビメーカーを例にとると、アメリカでは22社あったのが0社に、ドイツでも9社が0社と絶滅してしまいました。利益の源泉がアッセンブリーからデバイスにシフトしていることを理解できなかった結果です。
 このように、大企業でさえ変わらなければ生きていけない時代になってきました。7、8年前、パイオニアが10人弱の従業員をクビにしたことが大問題になりました。それが今では、富士通が15,000人の人員削減を発表したら株価が上がる時代です。中小企業が変わらなければならないのは当然です。今の仕事は5年ともたないと考えた方が賢明かもしれません。中国人と同じことをやっていたら先はありません。これからは、今までにない物を作るか、今までにない生産方式で作るかしかありません。しかも、答えは自分達で考えないといけません。
 とはいえ、経営資源の少ない中小企業がそれを成し遂げるのは大変なことです。ですから、力を合せあって生き抜いていく必要があります。今までは「競争」でしたが、これからは「協創」です。お互い協力し、新たなものを創造していくという意味です。幸い、浜信では経営塾を通じて「協創」できる環境を整えてくれています。皆様方はこの浜信経営塾でよき協創相手を見つけ、これからの企業経営に役立ててください。

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 第4回経営研究会

平成13年9月12日(水)
相談プラザ4Fコミュニティーホール

「計数分析を理解するための企業財務の基礎」(2)
前田 勝昭氏 (前田勝昭公認会計士事務所)

今回は、前回7月12日につづく企業財務の第2回ということで、前回勉強したB/S、P/Lから収益性、生産性、安全性といった分析、また、損益分岐点分析を使ってその会社の費用構造を把握し、各費用を改善して経営計画、利益計画、返済計画に落とし込むといった実践的な内容でした。

<講義のポイント>

I.財務分析の方法と利用の仕方
(1) 収益性の分析
 総資本経常利益率を見る
この比率は総合的収益力ともいわれ、収益力の分析の王様です。もちろん高いほど利回りは高いわけです。いろいろな会社がこの比率を指標にして自社の改善を図り、目標データとしています。

(2) 採算性の分析

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 ポイント

  1. 売上、固定費、変動費比率等の目標(大きさ、節約額)を計算するために利用される
  2. 損益分岐点の位置等の推移を見ることによって自社の安全性、硬直性の変化を見通せる
  3. 固定費の変動費化等を考える素をつくる
  4. 他社と変動費比率等を比較して、自社の弱点を見る
  5. 限界利益率から見た生産販売管理の3原則
    1. 限界利益率の高い物の生産・販売を増加する
    2. 企業の能力に余裕(操業度低い、遊休設備等)がある時は限界利益率がプラスであれば、生産・販売する
    3. 限界利益率がマイナスの物は生産・販売は廃止する
  6. 設備投資の判断
    1. 設備投資は固定費が増える
    2. 損益分岐点の位置が高くなる
    3. 売上の増加が可能か?

(3) 生産性分析
 生産性とは1人当たり付加価値額

  1. 生産性増大のポイント
    1. 付加価値額の増大
      ●INPUTの削減
      (OUTPUTは同じとして)
      • 取得原価主義が原則
      • 強制低価法の適用
      • 減価償却は毎年必ず実施すること
      ●OUTPUTの増大
      オンリーワン商品・製品をつくり、
      値引きの排除、低価格販売の減少
    2. 従業員数の減少(付加価値額は落とさずに)
      ●コンピュータ、機械等を増加させて
      (労働装備率UP)、人員削減
      ●時間節約の徹底
      ●ムダの排除etc
  2. 生産性(或いは付加価値)を利用した管理
    1. 賃金の上昇率の歯止め
      生産性の上昇>賃金の上昇率にならなければ企業は倒産
    2. 労働分配率で人件費管理
      労働分配率は65%未満(50%〜60%がベター)

(4) 安全性の分析と資金管理

  1. B/Sを見る6つのポイント
    • 資産の運用状況を見る…流動と固定の構成割合、資産の内容等
    • 資金の調達状況を見る…外部資本(買掛債務、金融債務他)と自己資本(資本の部)の構成割合
    • 短期支払能力と運転資金体質…流動資産(支払財源)と流動負債(返済額)の差と売上高の増加に応じて増加する資金需要項目の増加割合
    • 固定資産投資とその資金調達方法…長期的使用利用資産の調達は長期返済資金で調達しているか
    • 資金の投資効率を見る…資金運用が効率的になされ、生産力、売上を増加することに十分貢献しているか
    • 時価純資産を見る…資産価額を時価に直し、そこから負債を差し引いて時価純資産を見ます→自社の真の担保価値と資産価値がわかります
  2. 比率で見る安全性の分析(主要なもの)
    • 流動比率   →120%以上は必要
    • 当座比率   →100%以上あれば良い
    • 固定比率   →100%以下が理想的
    • 固定長期適合率→100%以下でなければならない
    • 自己資本比率 →中小企業は30%以上で優良
  3. 比率による資金効率分析
    • 小売、卸売業→棚卸資産回転率
      =回転率が高い、或いは同業他社と比較して特に問題なければ効率性が高いが金利在庫や不良在庫、滞留在庫を抱えているとこの回転率は悪くなる
    • 装置産業→有形固定資産回転率
      低いと、設備有効利用されていない、遊休不動産がある、操業度が低いという問題点がある
    • 株式投資型事業→投資利回り
      =これが余りに低いと結局ムダな資金投資になる、投資先の経営指導必要

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(5) キャッシュフローのポイント

  1. 営業活動のキャッシュフローを見て
    • 推移として右肩上がりか
    • 小計の金額は「P/Lの営業利益」よりもかなり多額か
    • 売上債権の棚卸資産の増加でお金が使われてしまっていないか
  • このキャッシュフローが、借入金の返済原資であることを理解して、借入計画、返済計画をたてているか
  1. 投資活動のキャッシュフローを見て
    • 投資資金は上記営業キャッシュフローの範囲内か
    • この投資は将来どの程度の営業キャッシュフローの増加につながるか

 第5回経営研究会

平成13年10月11日(木)
相談プラザ4Fコミュニティーホール

「人事制度と組織運営体制−基礎編」
二宮 孝 氏 ((株)パーソナル・ブレイン代表)

1.人事制度と組織運営体制の転換期

(1) 経営雇用環境の変化
  1. 国際化
  2. 高齢化と少子化
  3. 性別分業社会の終焉
  4. 従来の業態・職種の変化(ホワイトカラー化)
  5. 高度情報化
  6. 価値観の多様化、個人優先の時代
  7. 経済の不透明感、社会的不安感
(2) 新しい人事制度の方向性
  1. 能力主義・成果主義
  2. 自由化・多様化
  3. 国際的基準の確立
  4. 長期的視野から短期的視野への転換(新卒−終身雇用型人事の見直し)
  5. 組織・職務と“人”の新たなマッチング
(3) 中小企業の人事と組織
  1. 中小企業における人事の背景
    1. 多様化・個性様々
    2. 経営トップの影響力が大きい
    3. 社員各々の立場で連帯感を持って皆が一生懸命働く
  2. 中小企業ならではのメリットを生かす
    1. 柔軟性を持つ
    2. トップと社員の距離をより親密に緊密に
    3. 実際に即した能力主義人事の確立
    4. 制度よりも運用を重視(ハードよりソフト)
  3. 独自のトータル人事システムを目指す

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 第6回経営研究会

平成13年11月15日(木)
相談プラザ4Fコミュニティーホール

「人事制度と組織運営体制−応用編」
二宮 孝 氏 ((株)パーソナル・ブレイン代表)

1.賃金制度改革の背景

2.成果主義人事−業績給導入の背景

  1. 従来型の年功的な日本的能力主義人事の見直し
  2. 戦略的人事志向の必要性
    真の意味での能力主義と職務(役割責任)及び業績を反映した賃金制度の構築
  3. 新「中小企業流人材マルチ運用システム」の提案
    1. 管理職と"つぶしがきく"専門職の位置付け
    2. 人材像の段階別明確化
      Aモデル:優秀者像…会社が期待する、実在し得る人材モデル
      • 評価(人事考課)では安定、継続して評価A(優秀)をとれる者
      Bモデル:平均者像…平均的人材モデル
      • 物足りないところもあるが特に問題もなく、まずまず
    3. 評価・賃金

3.従来の賃金制度の問題点

−真の意味での能力主義と職務及び業績を反映した賃金制度の構築
  1. 能力・担当職務・業績のミスマッチ
  2. 長期収支の矛盾
  3. 画一的賃金体系の矛盾

4.これからの賃金体系

  1. 4つの賃金パターン
    −真の意味での能力主義と職務及び業績を反映した複合型賃金制度の構築
    1. 年功給
    2. 職能給
    3. 職務給(役割給
    4. 業績給
  2. 中小企業に求められる賃金制度改革(ステップアップ方式)

    第1ステップ:真の能力主義の確立


     まだ賃金面での実質的な能力主義的運用が図られていない企業を想定
    • 能力給(人事考課を適正に反映する賃金)の導入定着
    • 業績給(結果としての個別業績によって毎回洗い替わる賃金)の一部導入
    • 複線的な運用ルールづくり


    第2ステップ:能力開発段階に応じた対応


    能力給運用が浸透してきている企業における次の応用段階を想定
    • 業績給の比重増加と年収管理の促進
    • 管理職、中高齢社員に対する仕事・役割・責任に応じた賃金制度の導入
    • 創造開発的職種の賃金別体系化
      (コンピュータソフト開発などにみられる年齢・勤続と成果がほとんど無関係で個人のクリエイティブな能力発揮に期待する新職種を指す)

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第3ステップ:個々に応じた対応


能力給が浸透し、業績給も定着してきているなかで、一層の個別人事を目指しての業績年俸制が検討されている段階。
  • 役割業績年俸制の段階的導入

  1. 役割業績年俸決定の年間スケジュール
    1. 面接前
      昨年度までの実績を参考に、役割(担当職務)の期待度と責任・権限事項を確認する
    2. 目標設定面接
      当年度の目標を設定する
    3. 今年度年俸額の提示
    4. 目標の進捗管理と経過面接
    5. 会社・グループ業績実績の確定
    6. 業績評価面接
    7. 翌年度の役割(担当職務)の決定



10月11日、今回と2回にわたり人事・労務を学んだわけですが、皆さん経営者または将来の経営者ということで非常に熱心に聴講されていました。講師の先生も塾生の要望・質問にこたえて後日書籍をご郵送いただけるなど、大変親切にしていただきました。

 第7回経営研究会

平成13年12月6日(水)
相談プラザ4Fコミュニティーホール

「最新ケーススタディによる成功企業の

経営戦略研究と自社への展開」
市川 周 氏 ((株)市川アソシエイツ代表取締役)

1.経営戦略研究の二大分析

  1. 戦略SWOT分析
    自社が他社との競争に勝ち抜いていく戦略ベクトルの基本は、SWOT分析にある。即ち自社経営資源の〈強み〉と経営環境における〈機会〉とが結合するところに戦略的な優位分野を設定する。これに続いて〈弱み〉を〈強み〉に変えて〈機会〉と結合するかあるいは〈強み〉をもって〈脅威〉を〈機会〉に変えていく戦略的補強分野を設定していく。〈弱み〉と〈脅威〉の組み合わせは撤退あるのみである。

  2. 顧客満足対応分析

2.ケーススタディ

  1. 山岡金属工業
    家庭用ガス式たこ焼き器の製造・販売
    家庭用ガス式たこ焼き器の製造・販売で約9割のシェアを誇る。1960年に発売して以来、累計の販売台数は約300万台に上る。2代目社長は「たこ焼き文化」を広める伝道師として海外にまで赴く。
  2. サカタ製作所
    金属屋根部品の製造・販売
    「親父さんの築いた会社を2年でつぶす」と陰口をたたかれた2代目社長。元技術者の経歴を生かして営業に奔走し、経営組織を固めた。
    設備投資の落ち込みを跳ね返し、市場の縮小にも耐える会社を目指す。

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経営塾 新春講演会


平成14年1月23日(水)グランドホテル浜松


「日本経済の行方」
(株)東海総合研究所 水谷研治氏

私は長年、東海銀行(現在UFJ)に勤務しており、清水支店の支店長を勤めたこともあります。ですから、静岡県は私にとって感慨深いところであり、浜松にも訪れる機会があります。その度に、この地域はとても元気がいいように思えます。一般的に、景気(全国)は急落しております。ですが、浜松だけは違うように感じます。
 このように、どんな景気が悪い時代にも、調子のいい地域や企業があります。逆に、景気がいいときでも、業績不振の企業は存在します。ただ一般的には、景気がいい方が、業績のいい企業が多くなりますし、景気が悪ければ業績不振の企業が多くなります。
 先般、政府は「中期経済財政展望」をまとめました。それによると2002年度はデフレ圧力などで実質0%成長になるといっております。これは異常なことです。普通、政府は景気を上向かせようと計画を立てます。そして景気の「気」は気分の「気」ですから、政府は先々の見通しを少しでも明るいものとします。計画というのは、実際に考えよりも少し高めに立てるものです。これは企業の年度目標にもいえることです。ですから、政府が立てた見通しは、政府の本音よりも若干高めにできております。それでも2002年度はゼロ成長ということになります。
 ゼロ成長というのは、あくまで実質ベースの数値で

す。本当はマイナス成長になります。私達は売り上げが伸びたら「景気がいい」、売上が落ちたら「景気が悪い」と判断します。これが名目成長率です。政府が見ているのは実質成長率ですが、本当に私達が必要なのは名目成長率の方です。実質0%というのは、名目で見ると−0.9%、約1%のマイナスとなります。現在、企業の売上は急落中です。私は名目3%ぐらいのマイナスになると思います。
 ここで、過去の推移を振り返ってみましょう。
 1999〜2000年は、ITバブルのおかげで、景気は相当良かったハズです。それでもゼロ(0.2%)というのは、他がかなり悪かったということになります。皆さんも「景気が好かった」という実感はないでしょう。しかし、実際は景気が良かったわけです。これが、「右肩上りの時代ではなくなった」ということです。これからは良くて横這い、悪くてマイナスという時代が当たり前になります。
 政府の中期経済財政展望は、2001〜2006年度の5年計画となっています。それによると構造改革を行わない場合、実質で0.5%の成長に留まります。私もほぼその程度かなと思います。名目は−3%ぐらいで、マイナスは加速する可能性があります。
 まず、モノが売れるというのは、一方に買う人がいなければなりません。現実は買う人がいません。現在失業率は5.5%です。かつて春闘といえば、賃上げ率が焦点となりましたが、今はそれどころではありません。まず、ボーナスが下がりました。今度は給料が下がるでしょう。最近は公務員の給料も減る時代となりました。これでは、モノを買おうという気にはなれません。「売上が減る」→「給料を下げる」→「モノを買わなくなる」→「売上が減る」の悪循環です。
 結局はアメリカ頼りということになります。そのアメリカも足元は厳しい状況です。同時テロで落込

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んだ分は、すぐに戻るでしょう。しかし、ITバブルからの落込みをカバーするのは相当の時間がかかります。さらに、アメリカには困った問題があります。巨額の「貿易赤字」です。個人にしろ、会社にしろ、国にしろ、赤字は望ましい姿ではありません。普通、お金は稼がなければなりません。しかし、金持ちは貯めたお金を使えばいいわけです。かつてのアメリカは金持ちでしたから、めちゃくちゃお金を使っています。そのため、60年間かかって貯めたお金を、たった3年間で使い果たしてしまいました。こんな状態はいつまでも続くはずがありません。本来、大量の赤字を出し続けることはありえないことです。どこかで限界を迎えるはずです。
 アメリカはどこからモノを買っているかといえば、日本からです。日本の製品がいいからです。とにかく、今の日本はアメリカにモノを買っていただいてもっているようなものです。それが、いつかはなくなります。今は問題(アメリカの貿易赤字)を先送りしているだけです。そのような状況ですから、アメリカ経済は年後半には上向く可能性が高いのですが、大きな下押し要因があることを覚えておいてください。
 もう少し先の話をしますと、政府は構造改革を行えば2002〜3年はパッとしないが、2004年度から良くなり、実質1.5%、名目で2.5%の成長を見込んでいます。しかし、私はそうはならないと思っています。小泉さんは大きく分けて3つの改革を掲げています。(1)不良債権処理(2)規制緩和(3)財政再建の3つです。
 私は小泉さんの改革を支持していますが、(1)の不良債権処理はやってはいけないと思っています。政府は銀行が不良債権を抱えているため、新たな融資ができないとの見解です。しかし、銀行はお金を貸したくて仕方がないのです。企業が借りてくれないのです。そうした状況下で不良債権を処理するのは問題です。不良債権処理を進めれば、倒産しそうな企業に貸せなくなってしまいます。企業は倒産を逃れるために必死で合理化を行います。合理化にはお金がかかります。お金がないと信用不安がおこります。信用不安はお金の力で掻き消すことができます。そのお金を出すのが金融機関です。しかし、今のままではこのような後ろ向きのお金は、いくら将来性のある企業でも融資することができません。将来性の有無ではなく、現時点の財務状況で判断しなければなりません。

 (2)の規制緩和は大賛成です。民間にできることは民間にまかせるべきです。JRがいい例です。規制緩和を行えば、ムダなことをやって給料を貰っている人が首になります。一時的に失業率が上昇しますが、規制緩和はやるべきです。
 (3)の財政再建は、やらざるをえません。国の財政はかなりひどい状況です。これも国民が赤字を作ってくれと言った結果です。景気対策のために減税したら、景気が回復したからといって増税はできません。同じく、公共投資を増やせば、減らすことは難しいです。結果、赤字がどんどん膨らんでしまいました。
 会社ならば、赤字が続けば破産すればいい。借金が帳消しになり、ゼロからの再出発が可能となります。破産があるから救われるのです。なにも死ぬことはありません。しかし、国には破産がありません。破産がないということは、借金の帳消しができないということです。
 普通、国が借金をするとインフレになります。しかし、今のところインフレになっていません。でも、もう限界です。現在、国は年間10兆円の金利を支払っています。国の歳入は51兆円。そこから地方交付税17兆円を引いた34兆円が実質上の歳入で国の売上に相当する部分です。その34兆円の内、10兆円が金利支払いで消えてしまいます。今は金利が低いから助かっています。金利が低くて困るのは金持ちだけで、借金をしている人は助かります。金利が低くて一番助かるのは、スーパーでもゼネコンでもなく、国です。
 通常の場合、金利(10年物国債)はだいたい6%くら

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いです。インフレになると8%になるでしょう。現在の金利は1.5%ですから、普通の状態に戻れば利払いは4倍になります。現在の10兆円から40兆円になります。40兆円というのは売上34兆円を大幅に上回った金額です。これは異常なことです。問題となっているスーパーでさえ、売上よりも借金は少なくなっています。私の経験からすれば、借金はどんなに多くても売上まで、できれば売上の半分に抑えたいところです。ところが、国は借金(500兆円)はおろか、利払い(40兆円)だけで売上(34兆円)を上回る状況になるわけです。スーパーやゼネコンどころの問題ではありません。しかも、今後税収が伸びる見込みはありません。
 このつけは将来の国民に回ります。ですから、改革は待ったなしです。支出を抑えて、収入を増やす必要があります。支出を抑えるということは、使っているお金を減らすということです。当然、足元の景気は悪くなります。だからといって問題の先送りはできません。かつては、右肩上りの時代でしたから、問題を先送りしてもアッという間にカバーすることが可能でした。今は右肩下がりの時代ですから、問題の先送りはできません。今が改革のチャンスです。これが小泉さんのいう構造改革です。
 まだ、小泉さんはなにもしてません。やれば10年はダメになるでしょう。売上は原則として右肩下がりですから、当然給料も下がります。給料を下げなければ皆さんの会社が潰れてしまいます。しかし、なんだかんだいっても、日本は世界第2位の経済大国です。3位のドイツはわが国の半分しかありません。1人当たりのGDPもアメリカと同程度です。日本には底力があります。戦争が終わったときはもっとひどい状況でしたが、奇跡的な復興を成し遂げました。オイルショックや円高も克服しました。もはや、私達は引き返すわけにはいきません。皆さんは是非勝ち組みになれるようにがんばってください。

 第8回経営研究会

平成14年2月12日(火)
相談プラザ4Fコミュニティーホール

「組織を活性化させる7つのマネジメントパワー」
市川 周 氏 ((株)市川アソシエイツ代表取締役)

 パワー1
コンセプト力

●マネジメントリーダーは、自己の属する組織と社会

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との間に立って、異質な二つの世界を結合し、新たな関係性を構築することを求められている。社会・経済の変化を的確に把握し、それを自分の部門のメンバーに理解させると共に、現場からの多様な情報や知識を吸い上げ、それを独自の視点から結び合わせて、新たなコンセプトを構築するのである。この「独自の視点」とは、「自分のやるべきことや、やりたいこと」という、「想い」「志」から生まれるものである。

 パワー2
場の運用力

●マネジメントにおける「場」は、「共有されたコンテクスト」と定義される。これは『現象・物事についてどう理解するか、どう受け止めるべきか、どう解釈すべきか、どう取り扱うべきかという共通の枠組み』である。「文脈」と言い換えることもできる。
ここでは、特に誰かが明確な指示や命令を出さなくても、暗黙の「ルール」が生まれることが多い。また、複数の人が集い、コンテクストを共有し、活動することにより、ある腫の「共振」が生まれる。
このような仕組みを持つ「場」は、組織内に多数存在し、しかも大きな機能を果たしている。このような「場」を意図的に作り出す、運用する、転換させる、などのコントロールを行うことにより、新たな知識が生まれ、ビジネスモデルの革新が可能になる。
場の活動をコントロールし、場におけるさまざまな局面を適切に切り替えて運用していく能力を「場の運用力」と呼ぶ。

 パワー3
発信力

●発信力とは、「構想した新たなビジネスモデルのコンセプトに関わる情報を選択し、編集しコンセプトと共に発信する力」である。
これからのマネジメントリーダーは、情報を交流させるだけでなく、自らが情報や知識を編集・創造し、広く発信するという、知識発信基地になる必要がある。

 パワー4
巻き込み力

●巻き込み力とは、「新たなビジネスモデル実現のため、社内外の多くの人々を巻き込み、エネルギーの渦を大きくしていく力」である。「巻き込み=インボルブメント」とは、巻き込まれる相手からすれば「コミットメント」である。相手からいかにコミットメントを引き出していくか、それを仕掛ける力が巻き込み力であると言えよう。

 パワー5
瞬発力

●瞬発力とは、ビジネスモデルの革新を実現するために、巻き込んだ人々のエネルギーを的確なタイミングで、ターゲットに向けて、一気に発散させる力である。

 パワー6
責任力

●構想を実現する上で忘れてはいけないのが、責任力である。責任力には、「成果責任」「説明責任」「統治責任」の3つがあり、それぞれの責任が「組織内」「市場」「社会」の3方向に対して発生する。

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 パワー7
相互進化力

●活性化された経営においては、人々も、人々が集まる場も進化するが、その進化とは単独で行われるものではない。さまざまな人々や場が進化する情報や知識のキャッチボールを行うことにより相互に影響を与え合い、それぞれが進化するという形で行われることで、革新が遂行され、新たなビジネスモデルが確立する。各ステップの過程においても相互進化は頻繁に起きるが、このステップにおいて必要とされるパワーが「相互進化力」である。



 企業視察会

平成14年2月18日(月)〜 19日(火)

《視察先》
東成エレクトロビーム(株)
東京ディズニーリゾート・イクスピアリ

<東成エレクトロビーム(株)>

当社は、電子ビームやレーザービーム等の熱源を用いた先端加工技術に強みを持っています。その戦略は、常に最先端の設備を導入し、技術力で他社の追随を許さないといったものです。取扱製品も多岐に亘り、自動車、航空宇宙、海洋、原子力、バイオ、地熱エネルギー等の種々の産業関連部品に携わり、その製品の一部や製造現場も見学させて頂きました。また、上野社長のお話の中で、これからの中小企業は、独自技術を持つばかりでなく、キーテクノロジーを持ち、他社とネットワークを築いて相互補完をしあって発注元に対応していかなければならないといったものや、国の中小企業施策は充実しており、当社も補助金や融資制度などを上手く利用して経営に生かしている、といったお話は、塾生企業にとっても大変参考になるものでした。

<東京ディズニーリゾート・イクスピアリ>

イクスピアリは、東京ディズニーランドに併設された商業施設ですが、有名店から中小の雑貨店やレストランなどが、一つの建物に混在し、あまりディズニー色が表れていない施設でした。建物は、地中海のリゾート地にある町並みで統一感が有りましたが、一店一店はそれぞれに個性が有り、まさに地中海の町中でウインドウショッピングを楽しむといったコンセプトであったと思います。個店の良さが十分に感じられ、大規模ショッピングセンターとの差別化のヒントとなったと思われます。

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第11期運営委員として「はましん経営塾」の企画・運営にご協力いただいた方々です。
会 長 青嶋 亮治さん(9期)
副会長 服部 明彦さん(10期)
鈴木 勉さん(10期)
鈴木 基良さん(10期)
会 計 田地川 誠一郎さん(10期)
監査役 大石 将孝さん(9期)
山本 昌義さん(9期)
第12期新運営委員の方々です
会 長 服部 明彦さん(10期)
副会長 梶村 一成さん(11期)
渡邉 博さん(11期)
会 計 中野 睦子さん(11期)
監査役 鈴木 勉さん(10期)
鈴木 基良さん(10期)
よろしくお願いします。

OB会第7期運営委員の方々です
会 長 半場 幸治さん(4期)
副会長 大石 昌弘さん(5期)
会 計 袴田 隆成さん(6期)
監査役 郡司 勝弘さん(6期)
OB会第8期もよろしくお願いします。


新塾生歓迎親睦会

平成14年3月20日(水)ホテルコンコルド浜松
出席者数26名

 今年度入塾される第12期性を対象にした親睦会が行われました。4つのグループに分かれての経営者常識クイズ大会など、今回はまず親睦を図って頂くという主旨のもと、活発な交流が行われました。

事務局便り

《はましん経営塾 年間スケジュール(第12期・OB会第8期)》

日 時 開催場所 項 目 内 容 対 象
4月15日(月) 13:30〜19:00 グランドホテル 総会・講演会・パーティー 講演会 現役・OB合同
5月16日(木) 13:00〜16:30 相談プラザ4階 第1回経営研究会 財務・税務 現役生
6月11日(火) 17:00〜19:00 相談プラザ4階 第2回経営研究会 浜信役員との懇談会 現役・OB合同
7月下旬 終 日 未 定 第3回経営研究会 企業視察 現役生
9月11日(水) 13:00〜16:30 相談プラザ4階 第4回経営研究会 4倍速経営 現役・OB合同
10月9日(水) 13:00〜16:30 相談プラザ4階 第5回経営研究会 人事・労務 現役生
11月中旬 1泊2日 未 定 第6回経営研究会 企業視察 現役・OB合同
12月11日(水) 17:00〜19:00 相談プラザ4階 第7回経営研究会 浜信役員との懇談会 現役・OB合同
1月中旬 15:00〜19:00 グランドホテル 新春講演会・パーティー 講演会 現役・OB合同
2月18日(火) 13:00〜16:30 相談プラザ4階 第8回経営研究会 ネットビジネス 現役生
3月20日(木) 18:00〜20:00 ホテルコンコルド 卒業式・入塾式   卒業生・新入会員